2014年07月31日

NYPD real story.....

 7月28日午後、ニューヨークのウエスト・ビレッジにあるシガーショップに2名のUSマーシャルと立会いのNYPD Detective Mario Munizが逃亡者確保のため訪れました。 逃亡者は2012年にカリフォルニアで児童性的虐待容疑で逮捕され25万ドル保釈金を支払い保釈された後、2年間にわたり逃亡していた32歳の男で、このシガーショップで働いていたようです。
 USマーシャル以下3名は、私服にバッジを着用し、ショップにおいて逃亡者を確保しようとしたところ、男は突然32口径の旧式リボルバーを発砲、NYPD Det. Munizは右胸と腹を撃たれ、2名のマーシャルも受傷しましたが、反撃し男を確保(死亡)しました。 3名ともボディーアーマーを着用していましたが、特にNYPD Det. Munizは右胸に受けた銃弾がアーマーによって止められたとのことです。 Det. Munizは腹に受けた銃弾の破片が体内に残っているようですが、その後、全員退院し自宅療養中とのことです。
 Det. Munizの退院日には100名を超える仲間たちが拍手で迎えましたが、これは、危険な職務に携わる仲間同士を思いやる 『警察官魂』 によるものではないでしょうか。
All photo by NYPD


Det. Muniz の着用していたアーマーベストの着弾位置を示すブラットンNYPDコミッショナー


犯人が使用した32口径の旧式リボルバー





  

Posted by Kent Space at 17:40Comments(0)From U.S.A.

2014年07月27日

LAPD Memorial Street Sign Project

 LAPDの友人から、”LAPD Memorial Street Sign Project” の動画が送られてきました。 この動画を見ると、本部長自ら出演するなど、米国の警察組織が殉職者に対して如何に敬意をはらっているかが解ります。
https://www.youtube.com/embed/C4Sz5zVxBSo
 この殉職地にサインを設置するプロジェクトは一年前から実施されているようですが、以前からサインボードなどを設置していました。 このようなシステムは、LAPDだけではなく、CHPや他の組織でも取り入れており、渡米の折、街なかやハイウェーなどで目にすることがあります。
 LAPDの、”Killed in the line of duty (任務中の死亡:殉職)”は1869年の創立以来207名 (2014年7月現在・LAPD創立以前のシティーマーシャル時代の2名含む) の殉職者がいますが、このプロジェクトのほかにも、殉職者の記念碑、バッジ掲示などで弔意を表わしています。
 そして、オフィサーや遺族達の合言葉は、”We Shall NEVER Forget!!”......。 R.I.P.







  

Posted by Kent Space at 16:31Comments(0)From U.S.A.

2014年07月16日

PARKLAND

 シークレット・サービスつながりという訳ではないのですが、全米では話題作となった ”PARKLAND(邦題:パークランド)” を観てきました。
 なぜ今この映画なのか......米国で公開された昨年は、題材となったケネディ大統領暗殺事件から50周年にあたるためのようです。 あのオスカー受賞俳優のトム・ハンクスが製作を担当していることもあるのと、内容も事実に基づいており、極力フィクションを避けたとのことで、全米では話題作だったようですが、日本では、東京都内で2館、全国でも12館のみの公開という淋しさです......私は、リアルタイムで 『ケネディ大統領暗殺』 のニュースを体験していることもあり、納得の93分間でした。

 


1962年11月22日暗殺直前のケネディ大統領夫妻


 パークランド・メモリアル病院の救急口に到着したばかりの実際の大統領専用車


 ワシントンD.C.・シークレット・サービス本部ビル内のUSSSミュージアムに展示されている、実際に暗殺に使用されたとされる?イタリア軍用のカルカーノライフル
Photo by B.S.


 内容については、是非ご覧になっていただきたいので触れませんが、ポリスフリークとしては、当時のシークレット・サービスの生々しい活動状況、テキサス州警察やダラス市警察の様子などを興味深く観てしまいました。 特にダラス市警察のオフィサーは、ほぼ現在とユニフォーム、バッジなどが同じ (制帽が8角タイプからラウンドタイプに変更になっていることと、ショルダーパッチがなかった) こともありました。 バッジはプロップなのでしょうが、実物と変わらぬ形状でした。
 現行のダラス市警察バッジは3代目で、1952年にデザイン変更されたのですが、1962年のケネディ大統領暗殺事件を受けて喪に服するためか、1968年から1972年の間、それまでのバッジ(左)よりサイズを2回り位小さく、中央の ”D” の文字を黒くした、通称Black "D" バッジ(中)が使用されました。 また、それらのバッジは、リサイクル使用するためか?ナンバーパネルがネジで取り外しできる別部品仕様になっていました。
 右端のバッジはサンバッジ社製で、ナンバーパネルは一体型となりましたが、ナンバーの両側に縦線を残しています。 また、オフィサーランク (旧ランクタイトルはパトロールマン) はシルバーカラーですが、サージャントからはゴールドカラーになります。



 次の画像は、サンバッジ社製オフィサーランクのイシューバッジで、左側が左右にカーブしているブレスト用、右側がワレット用のフラットバッジです。



 事件は、オズワルド単独犯説と複数犯陰謀説など様々なストーリーがありますが、証拠書類一式はアメリカ公文書図書館に厳重に保管され、何故か2039年まで公開されないこととなっているため、謎が謎を呼んでしまっているのでしょうか.....!?
  

Posted by Kent Space at 17:50Comments(0)Kent CollectionMovie & TV

2014年07月07日

U.S. Secret Service

 今年の5月7日付で読者の方から 「先日オバマ大統領が来日しましたが、その際に随行していた U.S. Secret Service にとても興味を持ちました。 もし U.S. Secret Service 関係の記事、写真等がありましたらで見てみたいです。」 というコメントをいただきましたので、遅まきながら、バッジなどを中心に探ってみました。

 “U.S. Secret Service” (以下USSS) というと一般的には 『米国大統領の専任警護官』 というイメージですが、元々は1865年に遡り Department of the Treasury (米国財務省) 内に 『通貨偽造防止』 を目的とした連邦捜査機関として創設されています。 このあたりは、1993年公開のクリント・イーストウッド主演 “In the Line of Fire (邦題:ザ・シークレットサービス)” の劇中で、大統領警護から左遷?され、偽札捜査に携わる主人公の話がありました。 その後、2001年の 『9.11同時多発テロ事件』 をきっかけに、連邦捜査機関の見直しが図られた折、新設された Department of Homeland Security (米国国土安全保障省) に管轄が移っていますが、偽造通貨捜査権は引き継いでいるようです。
 ワシントンD.C.に本部があるほか全米に136ヵ所の事務所があり、主に大統領の視察地警護の詳細な計画・実施などを行いますが、通常でも大統領などに危害を与える恐れのある人物の把握を怠りません。 SPECIAL AGENT (特別捜査・警護官) になるには、米国市民である21〜37歳であることが条件のようですが、特別な資格を所持している場合は37歳以上でも可能なようです。 また、Special Officer と呼ばれる、運転技術、通信技術を始めセキュリティ全般に通じた専門官が配属されていますが、こちらは地域警察を含む法執行機関を8年以上経験していることが条件であるようです。

 特別仕様の大統領専用車から降りるオバマ大統領。分厚い防弾ドアです。


 常に周囲に目を配らせ、大統領を取り囲むように警護にあたる Special Agent 達。



 そのほかにホワイトハウスなどの大統領関連施設などを制服で警備する “U.S. Secret Service Uniformed Division” という部門もあり、制服用のバッジが支給されていますが、CS (Counter Sniper Team:狙撃班)、ERT (Emergency Response Team =SWAT)、Canine Explosives Detection Unit :K-9 警察犬使用の爆弾探索班) には、“TECNICIAN” というタイトルのバッジが支給されているようです。
 画像は、 Uniformed Division のバッジとオフィサーです。



 さて、次の画像左端はUSSSの初代シリーズ1バッジ、中央はシリーズ2バッジ、右端がシリーズ3バッジです(14/7/17訂正)。



 次の画像は現行シリーズ4(訂正) の実物バッジですが、2003年3月にそれまでの財務省管轄から国土安全保安省管轄に移管された時にデザイン変更されたもので、左側はラージサイズ・ピン&セフティーキャッチ付左右にゆるく反っているランクタイトル "SPECIAL AGENT" のバッジ、右側はスモールサイズ・クリップ付フラットバッジでランクタイトルは "TECNICIAN" です。 製作は当初から SUN Badge 社が請け負っていますが、Die:ダイ(金型)は USSS 担当部署で保管・管理しているとのことで、2007年 SUN Badge 社見学の折に見ることはできませんでした。
 両バッジ共、センターの5ポイントバッジと下部のランクパネル部分は別部品仕様になっています。 また、最下部のナンバーパネル状の部分にバッジナンバーの刻印はなく、コントロールナンバーは裏面にのみ刻印されているようです。 連邦系組織のバッジ表面にバッジナンバーを刻印していることは少なく、私の知る範囲では ICEとATF などが確認できますが、バッジ表面へのナンバー表示は元々、ユニフォーム・オフィサーがネームプレートを着用していなかった時代に、個人を特定する手段として用いられたようですので、ユニフォームを着用しない連邦組織では裏面にナンバーを刻印することで、バッジ・コントロールをしていると思われます。



 次の画像は、左側のFBI バッジとのサイズ比較ですが、FBI バッジの縦サイズが2・1/8" (約55mm)であるのに対し、USSSのピン&セフティーキャッチ付バッジは3・1/8” (約80mm)で、スモールサイズのクリップ付フラットバッジは2・1/2" (約65mm)です。
 「連邦系のバッジは全てクリップ付ですか?」 と質問されることがあるのですが、FBI は小さめのピン&セフティーキャッチ付がイシューで、セカンドバッジの作製を認めていないようですので、クリップ付のイシューバッジは存在しないことになります。 また、USマーシャルとDEA はイシューでもクリップ付であるのに対し、USSSはラージサイズはピン&セフティーキャッチでスモールサイズのフラットバッジはクリップ付ですので、一概に言うことはできませんが、ピン&セフティーキャッチ付の方が多いように思います。 元々、法執行機関のバッジは、ピン&セフティーキャッチ付バッジがスタンダードで、クリップ付はワレット用のフラットバッジやセカンドバッジに多用されたものですので、ユニフォーム着用の組織はほとんどピン&セフティーキャッチ付のバッジですが、ワレット用のフラットバッジを支給もしくは所持をを認めている組織ではクリップ付のバッジも存在することになります。



 大統領などを警護中の Special Agent は男女共ダークスーツを着用し、耳には無線用のイヤフォン、ベルトにはサービスガンである SIG P-229 (357SIG) とバッジクリップに装着したラージサイズのバッジを着用している姿が確認できますが、ほかにも識別の為かスーツの襟には八角形状?のラペルピンを着用しており、赤・青・緑など何色かのパターンがあり任務により色を変えているようです。




 スーツ姿のSpecial Agent の傍らで、出動準備中のBDU 着用者は Counter Sniper Team でしょうか? だとしたら、バッジのタイトルは ”TECNICIAN” ?



 最後に登場は、私が大ファンのクリント・イーストウッド主演で1993年公開の “In the Line of Fire (邦題:ザ・シークレットサービス)” で、当時現役であったシリーズ3(訂正)のバッジを掲げている場面です!



※USSS について、さらに詳細な内容が知りたい方はWikiPedia などを参照してください。
http://en.wikipedia.org/wiki/United_States_Secret_Service
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

Posted by Kent Space at 20:56Comments(13)From U.S.A.

2014年07月03日

LAPD UPR.....!?

 読者の方から、「LAPDのパトロールカー (以下PC) にはM4あるいはM16などは常に積んでるのでしょうか?」 という質問がありました。 私も漠然と、1997年のノースハリウッド “バンクオブアメリカ” シュートアウトの後にLAPDの装備などが見直され、サービスガンの40S&W・45ACP弾への移行やPCドアへの防弾装備などと併せてライフルも常備されているものと思っていました。
 質問をいただいてから、私もLAPDのモーターサイクル(以下MC)にショットガンをキャリーしているのは見たことがあったのですが、M-4などのライフルは見たことがなかったので、早速現役の友人に確認してみました。
 彼からの回答は、なんとLAPDでは現在でも、全PCへのライフル等の常備はしておらず、パトロール開始時にステーション装備課で受け取るのは、無線機、ショットガンとビーンバッグ用ショットガン(グリーンカラーのストック) のみとのことでした。1997年以降の対応として、全PCへのライフル常備も検討されたようですが、特に訓練を受けていないオフィサーへのライフル貸与は時期早尚とのことで、CHPなどのように全PCへのライフル装備は見送られてたようです。
 しかし、その後、再検討されPCへのライフル (LAPDではUPR:“Urban Police Rifle”と呼ぶ、以下:UPR) の装備は、ショットガンなどのように全車両に常備するのではなく、“LAPD Rifle Program” という研修を受講・修了し資格を取得したオフィサーのみ、LAPDでAR-15タイプと呼ぶ、セミ・オートマチックライフルを装備できるようになったそうです。 このUPRの種類は、AR-15タイプであれば、コルト、ブッシュマスター、HKなどオフィサーの好みで選択・カスタマイズできるそうですが、自費購入であるため現在のところ、資格を取得しUPRを装備しているのは、まだ400名位 (LAPD全オフィサー数約10,000名) のオフィサーとのことでした (もちろん SWAT 隊員は、公費で支給されています)。



 また、友人から 「2012年5月に一緒にシューティングしたSgt.”X” (ノースハリウッド・シュートアウトでルーキーにもかかわらず、同僚をカバーし重傷を負い、その後LAPD名誉勲章と名誉負傷章を受章) はUPRの装備資格を持っており、Kent (私のこと) は、その銃を撃たせてもらったでしょう」 と言われてしまいましたが、その時説明はされたようですが、私の英語力?では理解していなかったようです.....。
 Sgt."X" のUPR (Smith & Wesson M&P 15T Rifle) を借りてました......!?



 LAPDでは、2010年頃からUPRとショットガンの資格取得者が着用できるリボンが採用されています。
左が "Urban Police Rifle Cadre Ribbon"、右が ”Shotgun Slug Ammunition Cadre Ribbon” 。







  

Posted by Kent Space at 14:24Comments(0)From U.S.A.