2016年08月28日
連邦系法執行機関(フェデラル・ロウ・エンフォースメント)#3
第3回目はメジャーなところをということで、連邦法執行機関としては最も古い1789年に組織された司法省管轄のUSマーシャル・サービス(米国連邦保安官局)を取り上げます。
今回もバッジを中心に取り上げますが、局の中心は何といっても全米94地区に配属されているUSマーシャル(連邦保安官)と約5000名配置されているデェピュティー・マーシャル(連邦保安官補)達です。
西部劇時代はワイアット・アープがデェピュティー・マーシャルとしてクラントン一味と対決したOK牧場の決闘が有名ですが、現在は司法制度の保護を第一の目的に、連邦裁判関係者及び施設などの保護や被告人の監視、連邦犯罪を犯した囚人の護送、逃亡犯の追跡などが主な役目となっています。 また、映画やドラマでもちょくちょく登場する 『FWPP:証人保護プログラム』 の執行や連邦準備銀行の警備なども担当しています。
現行のサービスガンはグロック22・23・27(40S&W)ですが、バックアップガンは各自選択できるようです。USマーシャル・サービス内のSWATであるSOGのメンバーはM1911A1スプリングフィールドプロレールピストル(45ACP)を使用しています。
さて、そのバッジは1789年以降全米各地区などで各々作製していましたが、1941年に統一され、イーグルトップ・シールドバッジがシリーズ1バッジとなり現行はシリーズ3となります。
次の画像左からシリーズ1・2・3ですが、シリーズ2バッジは俗称パティー・ハーストバッジとも言われ1974年に発生した新聞王ハースト家の令嬢パトリシア・ハースト誘拐に端を発した 『シンバイオニーズ解放軍事件』 時に着用されていたことによりこの俗称で呼ばれるようになったといわれています。
現行のシリーズ3・シルバー・カラーのサークル&5ポイントスターバッジはデェピュティー・マーシャル用のもので、直径2・1/4インチ(約57ミリ)で全体に軽くドーム状に湾曲しており、文字などはブルー・ハードエナメル(センターシールの一部レッドカラー)仕様、センターシールは別バーツの2ピース仕様、裏面はピンではなく中サイズのクリップ付で、101から6000番までのコントロールナンバーが刻印されており、現行契約メーカーはブラッキントン社となっています。このほかにも連邦裁判所の警備官用のプラスチック板に小型バッジを張り付けたポケットバッジも存在しています。
次に、右端のバッジは各州・市・群などとの合同捜査の折関係地域のLE(ロー・エンフォースメント)オフィサーを臨時にに任命した場合に使用するスペシャル・デェピュティー・マーシャルバッジで、ブラッキントン社製ですが左のデェピュティー・マーシャルバッジより小型サイズといわれています。
シルバーカラーのバッジは約5000名のデェピュティー・マーシャルに発行されていますが、全米94地区の各責任者であるUSマーシャルとトップのディレクターなどに発行されているのが次のゴールド・カラーバッジで、裏面はシルバーバッジと同じ仕様、1から100までのコントロールナンバーが刻印されており、同じくブラッキントン社製となっています。
シルバーバッジは未確認ですが、ゴールドバッジはウォレット用とレイド用の2個支給されるようです。
※読者の方から、コメント欄で連邦系バッジのナンバーについてご質問をいただきましたが、再度ブログ上で簡単に触れておきたいと思います。
連邦系のバッジについてはナンバーを表面パネルに表示する場合、パネルはあっても表示せず裏面に刻印する場合と表面にパネルもなく裏面に刻印する場合がありますが、あくまでも個人とバッジをつなぐコントロール・ナンバーであり、さらに紛失・盗難などに対応するためのものでもありますので、IDのシリアル・ナンバーとは別管理となっています。 IDのシリアル・ナンバーはリサイクル使用されることもあるバッジナンバーとは異なり、全職員の管理用であり退職・新採用などにより同じナンバーが重複することがないよう一括管理されています。
また、連邦系を問わず制服を着用するオフィサーの場合、米国では1970年代からネーム・プレート(名札)の着用を義務付けておりバッジ・ナンバーがなくても個人を特定できますので、現在では 『備品番号』 程度と考えてもよいかもしれません。
前回取り上げたエー.ティー.エフ. ですが、その後実物バッジ画像を入手しましたので、アップします。
最初のバッジはナンバー2のデェピュティー・ディレクター用でナンバーも2となっていますが、現役の方ではなく以前の女性デェピュティー・ディレクターのものです。
次は、各州・市・群などとの合同捜査の折関係地域のLE(ロー・エンフォースメント)オフィサーを臨時にに任命した場合に使用するシルバーカラーのタスクフォースバッジです。このようなバッジは他の連邦系でも同様のバッジが発行されていますが、連邦系捜査官の人数は限られているため、こうした措置がとられているようです。
臨時発行のバッジは合同捜査終了後は返納するようですが、LEオフィサー達は記念に次の画像のようなバッジを作製することもあるようです。しかし、これらはオフィシャルなものではなく、あくまでも記念バッジとされています。
今回は夏風邪の病み上がりで、しかも久しぶりのお神酒入り?のため、勘違いや間違いがあるかもしれませんがお許しください......気がつき次第順次訂正させていただきます.....!?
今回もバッジを中心に取り上げますが、局の中心は何といっても全米94地区に配属されているUSマーシャル(連邦保安官)と約5000名配置されているデェピュティー・マーシャル(連邦保安官補)達です。
西部劇時代はワイアット・アープがデェピュティー・マーシャルとしてクラントン一味と対決したOK牧場の決闘が有名ですが、現在は司法制度の保護を第一の目的に、連邦裁判関係者及び施設などの保護や被告人の監視、連邦犯罪を犯した囚人の護送、逃亡犯の追跡などが主な役目となっています。 また、映画やドラマでもちょくちょく登場する 『FWPP:証人保護プログラム』 の執行や連邦準備銀行の警備なども担当しています。
現行のサービスガンはグロック22・23・27(40S&W)ですが、バックアップガンは各自選択できるようです。USマーシャル・サービス内のSWATであるSOGのメンバーはM1911A1スプリングフィールドプロレールピストル(45ACP)を使用しています。
さて、そのバッジは1789年以降全米各地区などで各々作製していましたが、1941年に統一され、イーグルトップ・シールドバッジがシリーズ1バッジとなり現行はシリーズ3となります。
次の画像左からシリーズ1・2・3ですが、シリーズ2バッジは俗称パティー・ハーストバッジとも言われ1974年に発生した新聞王ハースト家の令嬢パトリシア・ハースト誘拐に端を発した 『シンバイオニーズ解放軍事件』 時に着用されていたことによりこの俗称で呼ばれるようになったといわれています。
現行のシリーズ3・シルバー・カラーのサークル&5ポイントスターバッジはデェピュティー・マーシャル用のもので、直径2・1/4インチ(約57ミリ)で全体に軽くドーム状に湾曲しており、文字などはブルー・ハードエナメル(センターシールの一部レッドカラー)仕様、センターシールは別バーツの2ピース仕様、裏面はピンではなく中サイズのクリップ付で、101から6000番までのコントロールナンバーが刻印されており、現行契約メーカーはブラッキントン社となっています。このほかにも連邦裁判所の警備官用のプラスチック板に小型バッジを張り付けたポケットバッジも存在しています。
次に、右端のバッジは各州・市・群などとの合同捜査の折関係地域のLE(ロー・エンフォースメント)オフィサーを臨時にに任命した場合に使用するスペシャル・デェピュティー・マーシャルバッジで、ブラッキントン社製ですが左のデェピュティー・マーシャルバッジより小型サイズといわれています。
シルバーカラーのバッジは約5000名のデェピュティー・マーシャルに発行されていますが、全米94地区の各責任者であるUSマーシャルとトップのディレクターなどに発行されているのが次のゴールド・カラーバッジで、裏面はシルバーバッジと同じ仕様、1から100までのコントロールナンバーが刻印されており、同じくブラッキントン社製となっています。
シルバーバッジは未確認ですが、ゴールドバッジはウォレット用とレイド用の2個支給されるようです。
※読者の方から、コメント欄で連邦系バッジのナンバーについてご質問をいただきましたが、再度ブログ上で簡単に触れておきたいと思います。
連邦系のバッジについてはナンバーを表面パネルに表示する場合、パネルはあっても表示せず裏面に刻印する場合と表面にパネルもなく裏面に刻印する場合がありますが、あくまでも個人とバッジをつなぐコントロール・ナンバーであり、さらに紛失・盗難などに対応するためのものでもありますので、IDのシリアル・ナンバーとは別管理となっています。 IDのシリアル・ナンバーはリサイクル使用されることもあるバッジナンバーとは異なり、全職員の管理用であり退職・新採用などにより同じナンバーが重複することがないよう一括管理されています。
また、連邦系を問わず制服を着用するオフィサーの場合、米国では1970年代からネーム・プレート(名札)の着用を義務付けておりバッジ・ナンバーがなくても個人を特定できますので、現在では 『備品番号』 程度と考えてもよいかもしれません。
前回取り上げたエー.ティー.エフ. ですが、その後実物バッジ画像を入手しましたので、アップします。
最初のバッジはナンバー2のデェピュティー・ディレクター用でナンバーも2となっていますが、現役の方ではなく以前の女性デェピュティー・ディレクターのものです。
次は、各州・市・群などとの合同捜査の折関係地域のLE(ロー・エンフォースメント)オフィサーを臨時にに任命した場合に使用するシルバーカラーのタスクフォースバッジです。このようなバッジは他の連邦系でも同様のバッジが発行されていますが、連邦系捜査官の人数は限られているため、こうした措置がとられているようです。
臨時発行のバッジは合同捜査終了後は返納するようですが、LEオフィサー達は記念に次の画像のようなバッジを作製することもあるようです。しかし、これらはオフィシャルなものではなく、あくまでも記念バッジとされています。
今回は夏風邪の病み上がりで、しかも久しぶりのお神酒入り?のため、勘違いや間違いがあるかもしれませんがお許しください......気がつき次第順次訂正させていただきます.....!?
Posted by Kent Space at 19:55│Comments(7)
│From U.S.A.
この記事へのコメント
興味深く拝見しました。
W&Aも支給品契約がありましたが、年代はお分かりでしょうか?
W&Aも支給品契約がありましたが、年代はお分かりでしょうか?
Posted by DUSM at 2018年12月16日 11:01
DUSMさんへ: コメントありがとうございました!
現行直近のシリーズ2は1970年から1980年までVHB社が製造・納品しており、1980年のデザイン変更により現行シリーズ3バッジになった当初もVHB社だったようです。
その後、年代は不明ですがW&A社が製造契約を取得し、1988年にはUSMS創立200周年(1789〜1989年)バッジを製造していますが、1989年にCHPバッジの納品契約キャンセルなどもあり倒産していますので、それ以降はVHB社に戻ったようです。
現行直近のシリーズ2は1970年から1980年までVHB社が製造・納品しており、1980年のデザイン変更により現行シリーズ3バッジになった当初もVHB社だったようです。
その後、年代は不明ですがW&A社が製造契約を取得し、1988年にはUSMS創立200周年(1789〜1989年)バッジを製造していますが、1989年にCHPバッジの納品契約キャンセルなどもあり倒産していますので、それ以降はVHB社に戻ったようです。
Posted by Kent Space at 2018年12月18日 17:31
有難うございます。
USMS現行品はレプリカが、そのデザインの為か氾濫しておりますが、実物との見極め方法などありますでしょうか?
USMS現行品はレプリカが、そのデザインの為か氾濫しておりますが、実物との見極め方法などありますでしょうか?
Posted by DUSM at 2018年12月18日 19:40
DUSMさんへ: 連邦系はセカンドバッジを正式には認めていませんが、本物のSAが紛失を避けるためレプリカを携帯することもあるといわれており、これらが実物セカンドバッジと称して日本国内に出回っているようです。
また、W&A社倒産後、在庫品となっていたルーサイト入りのUSMSリタイヤードプリークが流出しましたが、これを取り出しクリップを取り付けたものが実物として出回っているようです。
USMSの場合イシューバッジはHMと共にゴールドは1~100、シルバーは101~6000のシリアルナンバーが必ず刻印されていますが、これにもフェイク(偽造)バッジが存在しますので注意が必要です。
最後に、連邦系のイシュー(支給)バッジは旧型を除き現行品は99%流出しないと言われています。
また、W&A社倒産後、在庫品となっていたルーサイト入りのUSMSリタイヤードプリークが流出しましたが、これを取り出しクリップを取り付けたものが実物として出回っているようです。
USMSの場合イシューバッジはHMと共にゴールドは1~100、シルバーは101~6000のシリアルナンバーが必ず刻印されていますが、これにもフェイク(偽造)バッジが存在しますので注意が必要です。
最後に、連邦系のイシュー(支給)バッジは旧型を除き現行品は99%流出しないと言われています。
Posted by Kent Space at 2018年12月19日 16:58
貴重な情報を有難うございます。
Posted by DUSM at 2018年12月19日 23:30
Kentさん ご無沙汰しております。改めてKentさんの記事拝見しています。USMSは昔写真でしかないですが、明らかにWAの刻印(CHPのバッジで良く出回ったWAの偽とは違う独特のものです。縦に楕円のもの)のシルバーにナンバー入り、ただしクリップは短い仕様をみたことがあります。ネットの写真では様々ですが、WA社製はクリップが短く、VHBは長いということでしょうか。写真では両方確認できるのですが、字体はどちらも同じですね。そもそもWAもVHBも違いはどこなんでしょうか。ご存じならばご教示をお願い申し上げます。
Posted by ブラックジャック at 2022年06月19日 04:58
ブラックジャックさんへ:
連邦系捜査機関のバッジは、最初の契約メーカーがダイ(金型)を製作し、契約メーカーが変更になった場合はダイを回収後次の契約メーカーが引き継ぎ使用する場合が多いと聞いていますので、USMSバッジも1980年に現行デザインに変更され、契約メーカーもVHB社からW&A社に変更になり現行ダイを製作しましたが、その後契約メーカーがVHB社になった現在でもダイは引き継がれ同じものを使用している可能性があります。 また、現在ではコンピューターを使用することにより全く同じダイが製作できるようです。
クリップについては、1980年現行デザインに変更後W&A社が最初に製作したバッジから現行と同じ長めのクリップが使用されたことを確認しています。
ブラックジャックさんがご覧になったW&A社製バッジは、長めのクリップが外れてしまい短めクリップにリプレイスしたことも考えられますが、以前、国内でW&A社製のクリップ無しルーサート封入リタイヤードバッジを取り出し、短めクリップを取り付けた例があると聞いたことがあります。
連邦系捜査機関のバッジは、最初の契約メーカーがダイ(金型)を製作し、契約メーカーが変更になった場合はダイを回収後次の契約メーカーが引き継ぎ使用する場合が多いと聞いていますので、USMSバッジも1980年に現行デザインに変更され、契約メーカーもVHB社からW&A社に変更になり現行ダイを製作しましたが、その後契約メーカーがVHB社になった現在でもダイは引き継がれ同じものを使用している可能性があります。 また、現在ではコンピューターを使用することにより全く同じダイが製作できるようです。
クリップについては、1980年現行デザインに変更後W&A社が最初に製作したバッジから現行と同じ長めのクリップが使用されたことを確認しています。
ブラックジャックさんがご覧になったW&A社製バッジは、長めのクリップが外れてしまい短めクリップにリプレイスしたことも考えられますが、以前、国内でW&A社製のクリップ無しルーサート封入リタイヤードバッジを取り出し、短めクリップを取り付けた例があると聞いたことがあります。
Posted by Kent Space at 2022年06月23日 17:39