2016年02月15日

SFPD.....

 久しぶりにバッジを中心に取り上げてみたいと思います。
 まずはSFPDオールランクバッジです。
SFPD.....


 SFPDではバッジナンバーをスターナンバーと称しオフィサーからハイランクになっても継続して使用しますが、リサイクル使用のため現在でも一桁から4000番台までのスターナンバーを確認することができます。
SFPD.....


 SFPDのバッジは7ポイント(以下P)スターで統一されており、1849年以来ほぼデザインが変更されていません。デザイン・サイズ・材質ではハイランク、サージャント、オフィサーの3種に分かれ、サイズが大きい順ではサージャント>オフィサー>ハイランクとなり、材質は、支給品でもサージャントとオフィサーが925スターリングシルバー製で、サージャントのナンバーは10Kゴールドのパーツ貼りになっています。ハイランクの材質は真鍮・銅などの合金でゴールドメッキが付されており別貼りバーツのナンバーは10Kゴールドとなっています。なお、チーフランクは10K以上のゴールドフィルドになっており輝きがチョット違います!?
SFPD.....


 サイズの違いは次の画像のとおりですが、文字はハイランクとサージャントはブルー・ハードエナメルでオフィサーランクのみナンバーも含めてブラックハードエナメル仕様となっています。そして、支給品の製造メーカーは永く ”IRVINE & JACHENS(アーバイン&ジェイキンズ)”(以下I&J) のみが担当しています。
SFPD.....


 支給品のハイランクとサージャントランクバッジにはハンド・エングレービングが施されていますが、文字周りの『線彫り』については、自費による個人オーダーによるものとのことで、最近は文字周りに『線彫り』のないノーマルバージョンのバッジが多いようです。
 スターナンバー周囲の手掘り彫刻については、左のキャプテンランクのスターナンバーは3桁、右のルテナントランクは一桁のためデザインが違いますが、これは彫刻者によっても異なります。 以前出回ったI&J社のHMのある偽造インスペクターバッジは実物バッジからの型取りであったためか一桁ナンバーのバッジに無理やり2・3桁のナンバーを取付けていたため 『はみ出して』 いました......!?
SFPD.....


 最初のオールランクバッジ画像ではコマンダーランク以上はナンバーの代わりに "SAN FRANCISCO" の文字が入っていますが、現在のチーフの2代前の女性チーフがオフィサー時代から受け継いできたスターナンバーを表示したバッジを着用し始めたためか現在ではコマンダー以上のハイランクもスターナンバーを表示したバッジを着用するようになったようです。
 次の画像は現在のCHIEF Greg Suhrですが、SFPD奉職33年のベテランでオフィサー時代からのスターナンバー#887のバッジを着用しています。
SFPD.....


 しかし、これは過去にもあったことで、先祖帰り現象のようですが、現在でもSF文字表示のハイランクバッジを着用している例も見受けられます。
 次の画像は最近のものですが、中右のデェピュティー・チーフはおろか中左のキャプテンランクまでもSF文字となっています。また、左端は珍しく制服に着用されたインスペクターバッジですが、このインスペクターというランクには長~い 『物語?』 があるのです.......。
SFPD.....


 SFPDでは1930年までは、いわゆる 『刑事』 は ”ディテェクティブ・ビューロー” (刑事局)に所属し、ランク名も ”ディテェクティブ” と ”ディテェクティブ・サージャント” でしたが、その後 ”インスペクターズ・ビューロー” と変更されたことによりランク名が一律 ”インスペクター” となりました。
 そして、1995年に ”インスペクターズ・ビューロー” が ”インベスティゲーションズ・ビューロー” (捜査局)に名称変更されたのですが、それに伴いなんと ”インスペクター” のランク名を廃止する案が浮上しました。
 しかし、SFPD内部のベテラン達から米国内の他都市ではほとんど使用されていない『刑事』イコール ”インスペクター” という伝統あるランク名称を一気に廃止することに異議が出て、とりあえず現在いる ”インスペクター” ランクが全員退職するまで使用を続けることになったとのことです。また、ペイグレード(給与級)も以前はルテナントランクと同じだったようですが、現在はサージャントランクと同等になってしまったようです。そして、現在新たに 『刑事』 になる場合は ”サージャント” ランクが条件となるだけで特別な名称は与えられておらず、バッジも ”サージャント” ランクを使用しています。
 ちなみに 『刑事』 イコール インスペクターというSFPD独自のランク位置はカリフォルニア内の他のPDにも影響を与えたようで、LAPDでは1971年にSFPDを例に挙げ、キャプテンランクより上位であったインスペクターランクが下位に見られてしまうことなどを理由にコマンダーに名称変更しており、LASDなども追従したほか、ホノルルPDなども後年同じくコマンダーに名称変更しています。
 私が心酔するところの映画 ”ダーティーハリー” でクリント・イーストウッドが演じる主人公は ”インスペクター・キャラハン” でしたので、とても残念ではあります。
 次の画像は昨年4月に移転・新築オープンしたSFPDの新本部ビル内に展示してあるバッジ・ディスプレイですが、チーフ、デェピュティー・チーフ、コマンダー、キャプテン、ルテナントランクまでは現チーフに敬意を表したのかスターナンバー#887ですが、なぜかインスペクターバッジが#2211になっています.....言うまでもなく、SFPD一番の有名人!? ”インスペクター・キャラハン” のスターナンバーですね!?
 画像最下段真中にあるポリス・リザーブ(予備警察官)#3397バッジは6Pスターですが.....
SFPD.....


.....現在はレギュラー・オフィサーと同じ7Pスターに ”R" 表示のバッジに変更されています。
SFPD.....


 次の画像は、10年くらい前のものでMCルテナントですが、スターナンバーが「なんと!」#2211でハリー・キャラハンのナンバーなのです。
SFPD.....


 次の画像は左がハットバッジ、中がショルダー・パッチ、右がPCドアやMC用のデカールで、ブルーの部分はリフレクタブル(反射素材)になっています。ハットバッジとショルダーパッチには共通して火の中から甦るフェニックス(不死鳥)とスペイン語で "ORO EN PAZ, FIERRO EN GUERRA"(英訳: "Gold in Peace, Iron in War" 和訳:”平和には金、戦いには鉄”)が表記されており、1800年代のゴールドラッシュにより誕生したサンフランシスコ市を象徴したデザインになっています。なお、ショルダーパッチは1970年に制定されたもので、それまでは着用していませんでした。
SFPD.....


 次の画像は式典におけるSFPDオフィサーのユニフォーム着用例ですが、主にサージャントまではアイク・ジャケット、左から3番目のハイランクはアーミー・ジャケットを着用しています。また、トラウザースには黒の側章が縫い付けられており、ランクが上がるほど太くなります。
SFPD.....


 次は、パトロール中のオフィサー達ですが、現在でも屋外ではレギュレーション・ハット(制帽)着用が義務付けられており、この画像ではイベント警備のためネクタイも着用しています。
SFPD.....


 次の画像はSFPD独特のリグ着用例ですが、判りますか?
 まず、上段右のオフィサーがリグの前部にハンドカフケース(手錠)を付けていますが、通常は2組携帯しており、一組を前部にもう一組を後部に着用しているのを見かけます。これはNYPDなどでも見受けられるケースですが、LAPDでは見たことがありません。
 残り3例は、いわゆる 『ウエスタンスタイル??』 でベルトキーパーをせず、サービスガンのSIG P226を携帯している方に傾けて着用しているオフィサーを見かけます。また、開襟でユニフォームを着用した場合は白TではなくネービーもしくはブラックTシャツが流行り?のようです。
SFPD.....


 次の画像はSFPDのSWATオフィサーですが、通常オフィサーのBDUがダークネービーカラーなのに対してSWATはブラックカラーのBDUを着用しています。
SFPD.....


 サンフランシスコには、カウンティ‐・シェリフの組織もあります。 管轄についてはシティー&カウンティ‐と表記しているように同じエリアであるためLASDのように警察権を行使する地域はなく、シェリフは主にカウンティー・ジェイル(群刑務所)、群裁判所、市役所、市立病院ほか公立施設の警備にあたりますが、LASDと同じ1850年創立でユニフォームも似ています。下段のバッジはもちろんI&J製です。
SFPD.....


SFPD.....


 さらに、サンフランシスコにはSFPDが組織される1849年の2年前1847年から独自の民間武装警察組織がありました。これがサンフランシスコ・パトロールスペシャル・ポリス(以下SFPSP)という組織で、SFPDにより管理されている以外は市内の商店や企業に雇われた武装ガードマンのような位置なのですが、最近は、SFPD直系のポリス・リザーブや民間ガードマンが充実してきたこともあり、存在価値が薄れ減少の一途をたどり現在では約30名という弱小組織になっているばかりか、SFPDによりユニフォームなどまで規制されるに至っており、消滅するのも遠くはないように思われます.....。
 以前SFPSPは、ほぼSFPDと同じユニフォームで、ハット・バッジがシルバーカラー、バッジが6Pスターでショルダーパッチのトリムなどがシルバーカラーで ”パトロール・スペシャル” の文字が入る違い程度でしたが、1994年以降権限も縮小され、現在ではユニフォームシャツはSFPDと同じダークネービーではなくライトブルー、トラウザースの側章もライトブルーに変更され、SFPDとの識別が明確化されました。当面はトラウザースの側章とシャツのエポーレットにライトブルーのラインを縫い付けることでしのいでいるようです。
SFPD.....


 次の画像の上段左側が現行SFPSPの6Pスターバッジですが、以前には右側のようなSFPDと同じ7Pスターバッジを着用する例もありましたがこれは規則違反で禁止されています。下段はショルダーパッチです。
SFPD.....


 さて、ポリスムービー&TVフリークにとってSFPDといえば、まずは既に取り上げたことのある往年の傑作 ”ブリット” と ”ダーティー・ハリー” ですが、TVドラマでは1996~2001年まで放送された ”Nash Bridges(邦題:刑事ナッシュ・ブリッジス)” ではないでしょうか。このドラマもSF市内でロケーションしているなどSFPDの協力を得て制作されていましたが、第119話?でナッシュの相棒ジョーがインスぺクターからルテナントへランクアップし、そのバッジ授与式のシーンには当時実際にSFPDのアシスタント・チーフでその後2002年にチーフになった ”Prentice E. Sanders氏” が出演していました。
SFPD.....


 マニアックな内容ばかりでしたので、疲れた読者のために 『一服の清涼剤?』 として次の画像をお届けします......!?
SFPD.....


 一気にSFPDを駆け抜けましたが、いかがでしたでしょうか? 内容については、ほぼ?確認済なのですが、妄想?の部分もあるかもしれないことをご了承ください.......!? 疲れました.............



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この記事へのコメント
 お世話になります
SFPDのバッヂとランクにはこれだけの歴史があるんですね 記事を読むことで歴史を駆け上った気分になれました 家に帰って無性にダーティーハリーとナッシュブリッジスが見たくなりました ハリーキャラハンの刑事像は強烈な個性を放っていましたね
Posted by ヴィクトリーショーに行きました at 2016年02月15日 20:09
ヴィクトリーショーに行きましたさんへ: 是非 ”Bullitt” も観てください。まったく古さを感じさせず、手に汗握ぎらせてくれます!
Posted by Kent SpaceKent Space at 2016年02月16日 16:19
SFPDも奥が深いですね!ブリットのマックイーンも当時の憧れでした~ダーティーハリー2のデビットソウルの白バイ警官がかっこよくてハーフヘルメットにSFPDを貼付けてバイクに乗っていました。最近はあまりSFPDのドラマがありませんね~ドラマ、映画の影響は大きいです。第2弾を楽しみにしています。
Posted by KIKU at 2016年02月16日 18:23
KIKUさんへ:

SFPDオフィサーの中には制帽に複数のピンズを付けたり、西部劇スタイルの斜めガンベルトがいたりとLAPDに比べると服装規定がユルイ?ように見えますが、友人を含め『タフ&ナイスガイ』ばかりです。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2016年02月17日 14:55
SFPDの映画かドラマは見たいですね。

エディーマーフィーのネゴシエーター(1997)はSFPDだったと思う。
SWAT隊員が出ていた記憶がある。

名探偵モンクはSFPDの設定だけど、リアルバッジを使っていたかどうかは確認していません。

自分は未見ですが、ハルク(2003)には、本物のSFPD SWATが出演しているようです。

あとは、ザ・ロックのカーチェイス・パートに少し出てきたかな。
Posted by ラプトル at 2016年11月21日 03:40
ラプトルさんへ:コメントありがとうございました!

SFPDの映画といえば『ブリット』と『ダーティー・ハリー』ですが、両方共SF市&SFPDの全面協力を得ており多数の現役オフィサー達がエキストラ出演していたようです。 そのあたりは、当ブログの2013年6月16日で『ブリット』を2013年2月22日で『ダーティー・ハリー』を取り上げていますので、参考にしてみてください。

『名探偵モンク』のバッジはドラマ用のプロップですが、雰囲気はでていたと思います。

どちらにしても、映画やドラマのエンドロールの”スペシャル・サンクス”に市とPDの協力やアドバイザーが表示されていれば、よりリアルな創りになっているようです。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2016年11月22日 17:01
 
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