2013年05月25日

Movie Prop Badges #17の追伸

 数少ない貴重な読者から、『ブログに何度かででくる 「エポーレットもLAPD独特の縫付処理」・「バッジの左右反りと腕曲反り」・「Pボタン」 の意味を教えてください。』 という質問をいただきましたので、お答えします。
 まず、“LAPD独特のエポーレット(肩章)縫付” とは、LAPD以外のPDにおいては、現在でもユニフォームシャツのエポーレットはボタンで留められてはいますが、ほとんどの部分は浮いており、無線マイクやグローブを挟んだりしています。 しかし、LAPDでは1970年代から徐々に、現在では全てのオフィサーがこのエポーレットの浮いている部分をシャツに縫い付けてしまい 『飾り』 状態にしています。 では、何故こんなことをするかというと、容疑者の確保時などに激しく抵抗された状況で、エポーレットをつかまれないようにするためのようです。 もちろんマイクやグローブを挟むことはできませんが、格闘時に少しでも不利にならないためと、エポーレットの破損も防げるということのようです。 それだけオフィサーは危険な状況に遭遇するということでもあるのでしょう。 ちなみに他のPDでは、LA市域にあるBHPD:ビバリーヒルズPD(以下BHPD)や、LAPD勤務経験者が他のPDに転職した場合などの例の他は、少数派ではあるようですが、LAPDの登場するドラマなどでは、必携なのです!
  また、ロングスリーブ(長袖)のユニフォームシャツに着用するネクタイも、クリップやベルクロ留めになっており、つかまれても簡単に外れるほか、毎日の着用が容易になっています。 このネクタイもLAPDではロングスリーブシャツには必ず着用が義務付けられていたのですが、2010年以降は任意になったようです。 さらに、現在のLAPDでは制帽も通常勤務では、着用が義務付けられておらず、セレモニーやアカデミー賞の警備のときのみの着用となっているようです。 ちなみに、NYPDやSFPDでは、現在でも通常勤務時の制帽着用が義務付けられているようです。
 画像手前がLAPDのオーダーシャツですが、オーダーでは最初から、既成品でもショップで縫い付けてくれます。 奥が通常のシャツでエポーレットは縫い付けられておらず、浮いています。

Movie Prop Badges #17の追伸


 次に “P” ボタンですが、現在のLAPDでは、以前レギュレーションであったアイク・ジャケットや、ホーナーガード(儀仗隊)以外は、いわゆるジャケット(上着)を着用する機会はなく、正式なセレモニーにも、ロングスリーブ・シャツにネクタイ着用となっています。 そのユニフォームシャツのエポーレットと胸ポケットフラップ留め用に計4個のLAPDロゴ付の専用小型メタルボタンを付けています(儀状隊用ジャケットのフロント・ボタンは大型のメタルボタンです)。 ちなみに他のPDでは、シャツと同色のプラスチック製練ボタンをつけているところがほとんどですが、1960年代までのNYPDではシャツについているボタンは全部ゴールドカラーの専用メタルボタンを付けていたほか、現在でも、BHPD・SFPD(シャツに4個)やダラスPD(シャツの全ボタン)などでは専用メタルボタンを付けています。
 では “P” ボタンですが、オフィサー数の少ないPDなどでは、シャツにメタルボタンが義務付けられている場合や制帽のチンストラップ留めボタン(耳章)などに専用のメタルボタンではなく、既成の“P”のアルファベット・ロゴ(追記:多分POLICEのPだと思います。 ちなみに”S”の ロゴボタンもありますがSHERIFFのSでしょう)が入ったボタンを使用しています。 ちなみに、LAのおひざ元であるLA国際空港には専属の “LAXPD(LA国際空港警察)” が組織されていますが、シャツのメタルボタンは “P” ボタン使用です。
画像の左がLAPD用、右が ”P” メタルボタンです。

Movie Prop Badges #17の追伸


 画像の左上BHPD、右上LAポートPD、左下SFPD、右下ダラスSDのメタルボタンです。
Movie Prop Badges #17の追伸


 最後に、ブレストバッジの反りについてですが、NYPDタイプやワレット用のフラットバッジを除きほとんどのブレストバッジは、いわゆる反りがつけてあります。 さらに、多くのブレストバッジは“左右反り”ですが、1940年にLAPDがそれまでのゴールドカラー・イーグルトップシールドからツートーン・オーバルシールドにブレストバッジのデザインを変更したときに、それまでの“左右反り”ではなく、独特の“椀曲反り”にしました。
 この“椀曲反り(後にドームカーブと命名?)”とは、英語でも特に説明がありませんので、実は私が勝手に名付けたものです......。 それはお椀(お皿でもよかったのかな?)を伏せたようなクボミ?に思えたからですが、これはLAPDバッジ独特のもので、胸に着用したときに、どこから見ても片寄って見えないというもので、そこまで計算しデザインされた反りなのです。
 画像の上段が “椀曲反り” で下段が “左右反り” ですが、解り難いですね......?

Movie Prop Badges #17の追伸


 それではと、現行実物LAPDバッジで実験?してみました......裏側に着色水を注いでも“椀曲反り”はこぼれませんが、“左右反り”では上下から漏れてしまうでしょう。 さて、お解りいただけましたでしょうか......??
Movie Prop Badges #17の追伸


 これまで 『知ったかぶり』 の解説をしていたことを反省つつ、今後に活かしたいと思いますので、懲りずに覗いてください!!



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Posted by Kent Space at 19:02│Comments(5)Movie & TV
この記事へのコメント
早速の回答ありがとうございました。
アメリカンポリスの世界って奥深いですね!ますます興味がわいてきました。今後も勉強させていただきます!
Posted by MT at 2013年05月26日 14:42
MTさんへ
こちらこそ、今後とも駄文を送り続けますので、よろしくお願いいたします!
Posted by Kent Space at 2013年05月26日 15:16
いつも拝見させていただいてます。誠に勝手ながら個人的にご教授頂きたいことがありましてお時間があるときご連絡頂けたら嬉しいです。
Posted by リザーブ・オフィサー at 2013年05月26日 18:38
リザーブ・オフィサーさんへ

コメントありがとうございました。
メールを送信しました。
Posted by Kent Space at 2013年05月28日 02:11
はじめてコメントさせていただきます、マクレーンです。
僕もぜひ、Kent Spaceさんにいろいろと教えていただきたいです。
それから、バッジなどを売っていただけないでしょうか?
メールアドレスは一緒に入れておきました。
Posted by マクレーン at 2013年05月29日 18:10
 
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