2013年10月11日

LAPD Museum

 LAPD ミュージアムの建物は、1926~1983年まで LAPD の Highland Park Police Station として実際に使用されていたもので、その後国指定建造物となり2001年に LAPD museum としてオープンし、現在に至っています。
 私は、今回で3回目の訪問となりますが、毎回ディスプレイなどが変えられているため、新たな発見もありワクワクしてしまいます。
 展示物はLAPDの歴史に関わるバッジ、ユニフォーム、車両からヘリコプターに至るまで実物が豊富に展示されていますが、博物館自体が、1983年まで分署として使用されていたため、留置場などがそのまま残されており、マグショットを撮影することもできるなど、ポリスに興味のあるなしに関わらず、楽しめる内容になっています。
 なかでも、バッジ以外に興味を引くものとしては、1997年2月28日金曜日に LA ノースハリウッド地区のバンクオブアメリカで発生した、シュートアウトに関する展示物でしょう。 犯人の着用していたマスク、衣服、ボディーアーマーから武器に至るまでがマネキンに装着され、当時のエンプティーケースが床にゴロゴロしている 『ジオラマ状態』 で展示されています。 犯人のマスク、衣服には弾痕ばかりでなく血痕までが付着したままなのには、驚かされます。

LAPD Museum


 銃撃戦で弾痕だらけになったパトロールカー、下段は犯人が使用した車両で、両方共バックヤードに展示されています。

LAPD Museum


 この事件は当初、よくある銀行強盗事件と思われたのですが、2名の犯人がフル装備&武装していたため逃走する際に、警官隊と激しい銃撃を交わすことになり、約44分間に犯人側から2000発以上の弾丸が発射され、11名の警察官と7名の民間人に重・軽傷者が発生し、最終的には犯人の1人が自殺、もう一人は、駆けつけた LAPD SWAT と激しい銃撃戦展開後に確保(救急車収容前に死亡)され終了した事件です。
 幸い犯人以外に死亡者がなく、負傷者はその後全員復帰していますが、残された課題は多く、事件後、包囲したLAPD側に当初、9ミリ口径の拳銃とショットガンしかなく、犯人側がフルオートのAK47(Norinco Type 56S、AKM など)、H&K91や Bushmaster やドラムマガジンなどと併せ、レベルⅢ以上のボディーアーマー(ボディーはもちろんのこと、肩、腿、脛に至るまで)& metal trauma plate を装着していたため、まったく対抗できなかったのです。

現在でもLAPDのルーキー・トレーニングに使用されているビデオです。 なお、両ビデオとも、刺激的なシーンがありますので、視聴にはご注意ください。
http://www.youtube.com/watch?v=uKKf8DlZMgk
http://www.youtube.com/watch?v=uo0E3PlHny8

ヒストリーチャンネルで放映された、一部再現シーンのあるビデオです。
http://www.youtube.com/watch?v=-ifWl41ZHN4
http://www.youtube.com/watch?v=z_YyTYggRlQ
http://www.youtube.com/watch?v=CtuZVpkbv-A

 これらのことから、事件後LAPDを始め、全米の法執行機関において、9ミリ弾以上の大口径拳銃の採用、パトロールカーへのM-16系アサルトライフルの通常携行、さらにパトロールカーのドアへの防弾装備などが施されました。 また、事件を基にしたノンフィクション・ドラマ “44 Minutes: The North Hollywood Shoot-Out” やリメイク S.W.A.T. のオープニングにフィクション化され登場しています。
 私の友人である LAPD サージャントは、事件当時アカデミーを卒業し8ヵ月目のルーキーコップで、事件に直接関わることはなかったそうですが、彼のアカデミー同期は、ベテランパートナーとパトロール中に現場に駆けつけ、ショットガンで応戦、犯人に命中させるも、ボディーアーマーに阻まれ倒すことができず、逆にAK-47のフルオートショットを集中的に受けてしまったそうです。 彼はルーキーだったにもかかわらず、勇敢に応戦したばかりか、後から駆け付けたDETECTIVEがボディーアーマーを装着していないのを知ると、彼をかばい盾となり、背中に2発のAK-47の7.62ミリ弾を受けてしまったのですが、その後も応戦、銀行向かい側の歯科医院に避難し応急手当てを受け、その後病院に搬送されたそうです。 この辺りは、LAPDトレーニングビデオの他、シュチュエーションは少し変えられていますが、ノンフィクション・ドラマ “44 Minutes: The North Hollywood Shoot-Out” に登場しています。
 彼は1998年に事件に関係した17名の仲間とともにLAPDの最高勲章である “Medal of Valor” を受賞、さらに2011年に制定された “Purple Heart (名誉負傷章)” を受賞しています。 そして、余談ですが、2012年5月に彼が会員になっているシューティングレンジで一緒にシューティングすることができました......。

 LAPDの最高勲章 ”Medal of Valor” の授与式
LAPD Museum


 2011年に制定された ”Purple Heart (名誉負傷章)”
 なお、両メダルとも、勇気に対する栄誉のメダルなのですが、殉職者にも授与されますので、悲しみのメダルでもあるのです。
LAPD Museum


 話は、それてしまいましたが、LAに行く機会がありましたら、是非、LAPDミュージアムに立ち寄ることを強くお薦めします!
 車両などの展示物も充実しています!
LAPD Museum


 また、こんなこともできます.......!?

LAPD Museum


 今回は展示されていませんでしたが、伝説のTVドラマ ”DRAGNET” に使用されたバッジ&IDカード。 1960年代当時は、フラットバッジは許可されていませんでしたが、LAPDがドラマのために特別にENTENMANN社に発注した実物バッジですが、IDカードも実物が貸与されています。(左のIDカードは、1967年まで使用された通称 ”RED CARD”、右はお馴染みの1967~2006年6月5日まで使用されたIDカードです。

LAPD Museum


 今回、展示されていた ” RESERVE OFFICER” の ナンバーの頭に ”R” が付いたバッジです。 ナンバーフォントの形状から2008年以前の製作のようですが、展示バッジは未使用新品でした。


LAPD Museum





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Posted by Kent Space at 19:10│Comments(0)From U.S.A.
 
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