2015年10月04日

LAPDの1911.....!?

 先々月読者から 「よくドラマや映画でSWAT出身でもない刑事とかがコルト1911カスタムやキンバーなどを使用している刑事があるのですが、刑事なら支給品以外でも審査クリアしたら使用できるのですか?」 という質問をいただいていたのですが、特に多忙なわけでもないのに忘れていました….遅まきながら取り上げさせていただきます。

 全米でもサービスガンに45ACP弾使用の1911系を認めているPDはあるとは思いますが、メジャーシティーで認めているところは限られるようです。
 まず全米一の規模を誇るNYPDではサービスガンに1911系ガンを採用していないようですし、SFPDでもしかりですが、FBIやシカゴPDなどのようにSWATなど一部の特殊部隊の場合はサイドアームとしてマンストッピングパワーのある45ACP弾は欠かせないこともあり採用している場合も見受けられます。
 それでは、なぜ1911系ガンを通常任務時のサービスガンとして採用するPDが少ないというよりも減ったのか?ですが、ここではLAPDの場合について触れていきたいと思います。
 まず、現在のLAPDで1911系ガンというとSWATで採用しているKimber LAPD SWAT CUSTOM II(現在ではCUSTOM TLE/RL IIも可)ですが、1997年発生した "North Hollywood shootout" で45ACP弾のマンストッピングパワーが再認識されましたが、それまでは9mm口径のベレッタ92Fがサービスガンでしたので、SWAT隊員などは犯罪で使用され押収された1911系ガンをサイドアームとし使用していたようです。その後、SWAT隊員に特化した45ACP弾使用ガンの必要性が高まり2002年に大手5社の1911系ガンをトライアルにかけた結果、Kimber LAPD SWAT CUSTOM IIとして採用されたことはご存じの読者も多いと思います。

※Kimber社のカタログから....写っているパッチはホンモノです.....宣伝効果バツグンですね.....
LAPDの1911.....!?


※2007年にLAPD METRO DIV. のS.W.A.T.本部の武器庫を見学した折に撮影した、調整のため隊員から預けられた ”Kimber 1911 LAPD SWAT CUSTOM Ⅱ” です。 まだ、シュアファイアのサイズが長い......。
LAPDの1911.....!?


 しかし、LAPDではこの時点でユニフォームオフィサーなどが通常勤務時に携帯できるサービスガンとしては認可しませんでしたが、その第一の理由は1911系ガンはハンマーコックの必要なシングルアクションガンであることだったようです。確かに1911系ガンを採用しているPDなどでは 『フルコック』 で携帯するのが常になっておりホルスターもコックされたハンマーの間にストラップをかけるようになっていますが、1911系シングルアクションガンはフルコックし、そのガンを安全に取扱い携帯し、さらに緊急時ガンを抜くと同時にセフティを外し射撃体勢に入るにはある程度の訓練が必須であるとの見解があったようです。
 その後、オフィサー達からの強い要望もあり、現在ではSWAT隊員及び経験者以外でも “EXPERT Shooting Medal” 以上の保持者で、さらに一定期間専用の教習・訓練 (LAPD special 1911 School) を受け認められた場合は1911系ガンを自費購入し携帯できるようになったため、Kimberの1911系ガン数種類がサービスガンとして認可されており、SIS(Special Investigation Section)やMETRO DIV. などではカスタムガンも造られるているようです。

※SIS CUSTOMを携帯するSIS隊員
LAPDの1911.....!?


※METRO CUSTOM/RL
LAPDの1911.....!?


 余談ですが、次の画像はChief Beckです.....左のDeputy ChiefランクまではS&W 4506をスィベルタイプホルスターにキャリーしていましたが、Chiefに昇任して以降はKimber LAPD SWAT CUSTOM IIをフルコックでキャリーしているようです.....Chief BeckってSWAT経験者.....? “EXPERT Shooting Medal”は?.....LAPDの友人曰く 「ルールを制定したChiefがルール破り....」 かも?とのことでしたが.....。
LAPDの1911.....!?


 75thさん、遅くなりましたがこれくらいでお許しください…..。



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Posted by Kent Space at 19:52│Comments(12)From U.S.A.
この記事へのコメント
映画スピードで1911に初期の手に持つようなライトを専用マントで固定したのが出て、
そのシュアファイア用のマウントとスイッチやサファリランドのホルスターが輸入されていましたね、
マウントだけでも、ものすごい金額にビックリしたのを憶えています。

今ではフレームにマウント用のレールがついて、ワンタッチ装着の
ウエポンライトやレーザー照準器が専用に出ていますが、思えばその歴史はここ最近のことなのですよね。

いつ頃から何処の誰が拳銃にライトをマウントして使うようになったのか・・・

その戦術的な歴史も気になるところです。
Posted by sirokuma at 2015年10月04日 20:24
sirokumaさんへ:コメントありがとうございました。

LAPDではアカデミーにおいては"Tactical Flashlight Techniques"というフラッシュライトの戦術的なテクニックを繰り返し訓練するそうです。その場合は必ず"Hand-Held & Weapon-Mounted"(手保持と武器取付け)の両方の効果的な使用方法を教えられるそうです。
米国の警察組織の統計では、銃を使用する状況の60%が夜間など暗い時間帯で発生するとのことですが、特に大都市では85%にのぼるとのことなのでフラッシュライトの使用テクニックはオフィサー・サバイバルの重要事項でしょう。

銃とフラッシュライトの相関関係は切っても切れないものなので、フラッシュライトやその使用テクニックなどは以前から研究・開発されているのでしょうが、1968年からサンフランシスコや近郊で発生し、映画『ダーティーハリー』のネタ元にもなった”ゾディアックキラー”連続殺人事件の2番目の現場で、夜間であったため犯人はペンシルタイプのフラッシュライトを拳銃にテープで取り付けていた.....ということが生き残った被害者の証言にあったようです。

余談ですが.....少し前に某国で『人に危害を加えた犬を夜間捕獲するのに3人の警察官が拳銃を13発撃ち、ようやく仕留めた......』という事件?が発生しましたが、うち2人は全弾発射したことになります.....予備弾も携帯していないのに.....しかも暗い住宅街で、闇雲に撃ちまくった?ようです.....これは拳銃の使用方法や懐中電灯の効果的な使用方法以前に、犬を捕獲することが事前に分かっていたようですので、捕獲用網を持参すべきだったのではないのか.....!? 絶命した犬も飼い主が悪かったようで気の毒でしたが、唯一の救いは住宅街であったにもかかわらず、フルメタルジャケットによる流れ弾で被害にあったのがエアコンの室外機と塀だけであったことでした.....。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2015年10月06日 15:55
こんにちは。「闇雲に撃ちまくった」とは、どうして分かったのでしょうか?
Posted by あんじょりー at 2015年10月08日 17:34
あんじょりーさんへ:

Vショー情報ですが、ワイドショーでも目撃者情報として取り上げていたようです.....。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2015年10月08日 18:00
わかりました。
Posted by あんじょりー at 2015年10月09日 12:37
初めまして。管理人さんにお聞きしたいことがあります。LAPDではSWATの隊員が個人で支給されている1911のグリップを交換したり、調整したりできるのでしょうか?またSWATの隊員が別の部署(パトロールや刑事など)に移動する際には、1911を自費で買い取って使用する事などはできるのでしょうか?
最近ふと疑問に思いましたので…
Posted by Mr.Smith at 2017年08月01日 14:24
Mr.Smithさんへ: コメントありがとうございました!
 LAPDではSWAT隊員のみKimber 1911 SWAT CUSTOM IIがそれまでのサービスガンに代わり支給されますが、グリップは各隊員の好みで交換・調整をしているようです。ただし、銃本体の調整・修理はメトロディビジョン内にあるアーモリーにおいて専従職員が行っています。
 SWAT隊員が異動などにより他の部署に移ってもそのまま所持しており、退職時には購入することも可能とのことです。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2017年08月01日 17:09
ご回答ありがとうございます。やはりSWAT隊員のみでしたか。でも移動した後も所持しているという事は、それをデューティーガンとして使うこともできるのでしょうか?
実は私、LAPDの刑事が主人公の小説を書こうと前から構想を練っているんですよ。その主人公のCaptainにKimber LAPD SWAT CUSTOM RL Ⅱを持たせようかなーと考えているんです。主人公の経歴は、元海兵隊スナイパー、元SWAT隊員で勤続20年以上にしようと思っています。場合によっては持たせる銃を変えなきゃ駄目ですかねw?
Posted by Mr.Smith at 2017年08月02日 15:45
Mr.Smithさんへ: 言葉が足りなかったかもしれませんが、「異動後のSWAT隊員がそのまま所持」はオンデューティーでの継続携帯・使用を意味します。
 なお、継続使用するかは任意ですが、よほどのことがない限りSWAT隊員であった証しとして継続使用しているようです。
 余談ですが、LAPDでのCAPTAINランクはコマンドスタッフとして分署長などを任される管理職的地位で、通常勤務時間もディタイムであり夜間勤務のシフトが組まれるのはLIEUTENANTランクまでです。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2017年08月03日 14:58
同じような事にご回答を頂き恐縮です。今回のご回答で疑問に思った事なのですが、再びご質問させて頂きます。
まず1911をLAPDのオフィサーが携帯する為のシューティングランクと講習についてですが、全ランクとランクを上げる、携帯する為の試験内容などお分かりでしたら教えて下さい。
次にメトロディビジョンについてですが、それは市警察本部の事でしょうか?メトロ署の署長はCAPTAIN Ⅲであり、市警察本部長はCHIEFであるなど、私が理解していない事の為、ご説明お願い致します。
そしてCAPTAINについてなんですが、映画「リーサルウェポン」やドラマ「Major Crimes 重大犯罪課」などを観ていると、CAPTAINは市警察本部の課長を務め場合によっては現場に出向き捜査の指揮を執ったり、突入に参加し先陣を切るシーンがあります。しかし映画「Heat ヒート」においては、アル・パチーノ演じるLIEUTENANT Hanaが市警察本部 強盗殺人課(R.H.D.)の課長を務め、捜査指揮や突入の先陣を切っていました。更に極端な話になると、ドラマ「クローザー」でキーラ・セジウィック演じるDeputy Chief Brenda Leigh Johnsonが市警察本部殺人特捜班のリーダーを務めていました。映画やドラマの劇中での階級の描写は正しいのか、また現実のLAPDではどうなっているのか。長文になってしまいましたが、是非ともご回答お願い致します。
Posted by Mr.Smith at 2017年08月03日 22:18
Mr.Smithさんへ: LAPD special 1911 Schoolは毎月4回実施されていおり、受講資格は“EXPERT Shooting Medal” 以上の保持者が2日間の実技&講習を受けることにより所持が認められるとのことです。
 LAPDのCAPTAINランクは我が国での警視ランク以上に相当する管理職ですので、よほどの重大事件でもない限り直接事件を担当することもなく、逐次事件現場に赴くこともないようです。ましてやTVドラマのようにDeputy Chief などのハイランクが事件捜査に直接携わることもないようです。
 LAPDで直接事件の捜査を指揮するのはLIEUTENANTからのようですが、実際の事件捜査はアメリカにおいても地味で地道な努力の積み重ねであって、映画やドラマの何でもありの脚色とは異なっているようです。
 メトロディビジョンはLAPDの大きな支署でSWAT、K-9、マウンテッドを始めとするユニットを有していますが、そのあたりについてはWikipedia英語版の ”Los Angeles Police Department” やLAPDのホームページを参照されることをお薦めします。
Posted by Kent SpaceKent Space at 2017年08月04日 17:53
詳細なご回答ありがとうございました。参考にさせて頂きます。
Posted by Mr.Smith at 2017年08月06日 16:37
 
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